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私たちは、社会的投資の研究、普及、発展を目的として、2014年3月に発足し、社会課題に取り組む起業家を、投資の形で支援してきました。
こんにちは!NPO法人ARUN Seed(アルンシード) 代表理事の功能聡子(こうのさとこ)です。私たちは、社会的投資の研究、普及、発展を目的として、2014年3月に発足し、社会課題に取り組む起業家を、投資の形で支援してきました。
私たちの社会には、貧困、環境、人権など、多くの課題が存在しています。その解決に必要なのは、物資の援助や資金の提供だけではありません。その国で生きる人々が、自分自身の手で、課題や困難を解決していこうという強い意志と人々の協力ーそれこそが未来を作っていく糧になります。
私たちはこれまで、途上国の課題を解決するという情熱を持った現地の社会起業家を、社会的投資という形で支援してきました。ビジネスという、国や地域で循環し、自走していく方法によって、人々が希望を持つことができる持続的な社会の発展が可能になると信じているからです。
皆さまから頂くご寄付が、社会起業家への支援(社会的投資)に活用され、新型コロナウイルス感染拡大によって影響を受ける人々を支えます。ARUN Seedは、皆様の想いのこもったお金を、責任をもって、現地の課題をビジネスで解決しようと奮闘する起業家に託します。
ARUN(アルン)とは、カンボジア語で「暁」「夜明け」、という意味です。1日の始まりの希望とエネルギーは、起業家の新しい社会を創っていこう、という希望とエネルギーを示している。この社名には、そんな思いが込められています。
ARUN代表の功能は、1995年よりNGO、JICA、世界銀行の業務を通して、カンボジアの復興・開発支援に携わってきました。 その中で、カンボジア人の社会起業家との出会いからソーシャル・ファイナンスに目を開かれ、その必要性と可能性を確信し 、2009年に33名の投資家を集め、カンボジアでの投資事業をスタートしました。その後2010年に社会投資の普及啓発を目的に、社団法人を設立。2014年3月に特定非営利活動法人として、現在のARUN Seedが誕生しました。
ARUN Seedでは途上国の課題解決を目指す起業家を発掘し、支援するため、2016年からこれまでに3回のビジネスコンペティション、Cloud Social Investment Challenge (CSI チャレンジ)を開催。クラウドファンディングにより皆さまのご支援を集め、優勝した企業に投資を行っています。
第1回の優勝者は、インドで生乳のサプライチェーンをIoT化するStellapps社です。乳牛の頭数は世界一の国でありながら、一頭あたりの生乳量は低く、また生産者の70%が零細酪農家というインドにあって、同社によるデジタル化は、生産性向上、酪農家の生活向上、貧困削減に貢献しています。
第2回の優勝者は、インドで家事労働者の派遣を行うBookmybai社です。インドでは中流階級の台頭と共に、家事労働者需要が拡大する中、労働者は常に社会的に弱い立場に置かれ、長時間労働や、雇用主による差別などに晒されてきました。Bookmybaiは、オンラインで労働者と雇用主のマッチングを行う一方、面接や契約にも関与し、労働者を保護し、収入の向上にも寄与しています。
第3回の優勝者は、インドネシアでクラフト産業のサプライチェーン統合とデジタル化を行うDu Anyam社です。クラフト生産者は主に農村部の女性が担っていますが、注文、あるいは納品が安定しないこと、また仲買人による搾取などにより、極めて不安定な収入源でしかありませんでした。Du Anyamは、サプライチェーンを統合、海外に販売先を拡大するとともに、受注管理や在庫管理をスマホ上で行えるアプリを開発、零細生産者を支援しています。
こうした活動が評価され、2015年には「第3回日経ソーシャルイニシアチブ大賞国際部門賞」を受賞、また、代表の功能は、2016年に「Forbes Japan世界で闘う日本の女性55」に選出されました。
皆さまからのご支援は、社会起業家の支援や、ARUN Seedの活動資金として、使わせていただきます。活動状況につきましても、皆さまに定期的にご報告させていただく予定です。
2020年3月初め、私は、インド、バングラデシュにいました。当時、日本では、新型コロナウイルスは、感染の発生源となった武漢とクルーズ船内の出来事のように感じていたことを覚えています。インドでは、私が入国した翌日から厳しい入国制限が始まり、3月中旬にはロックダウンが始まっていました。昨年夏に一旦は収まったインドでの新型コロナ感染ですが、今年に入り、変異株による感染爆発が発生、ピークは超えたと見られるものの、未だ収束の様子はありません。
新型コロナウイルスによって、私たちの社会は大きなダメージを受けました。身近な人を感染症により亡くした人もいます。感染の恐怖と戦いながら、日々治療やケアに当たる医療従事者も、私たちの日常生活を維持するための様々なサービスに従事してくださっている方々もいます。そうした方々に感謝しつつ、私たちは今、コロナ前の社会システムでは対応できない、変わらなければいけない現実と向き合っています。この現実は、世界の中でも貧しい国々にとっては、さらに厳しいものです。パンデミックが広がる以前から深刻であった貧困や感染症の問題は、こうした国の中でも脆弱な地域、脆弱な立場に置かれている人々を直撃し、一気に生活の危機、生命の危機に晒されることになっているからです。
昨年以来、そうした人々を助けるために現場に行くことが難しい状況が続いています。しかし、現地の人々と連帯することはできます。社会起業家は、パンデミック以前から、こうした社会の問題の解決に、長期的な視点で取り組んていた人たちです。今、社会システムそのものが変化している、ウイズコロナの時代だからこそ、起業家の持つ視点、例えば、目先の変化にとらわれず、問題の本質、変化を見極め、仲間を募り、アイディアを実行に移していく、起業家のスタイルが必要とされています。私たちは、彼らを、社会的投資で応援することで、厳しい状況にある、途上国の人々の問題の解決に向けて、連帯していくことができます。
私たちは、これまでの活動を通して、どんな社会にも、どんな国にも、志を持つ起業家がいることを確信しています。違うのは、彼らを取り巻く環境、政府、政策、制度、様々な専門知識を持った助言者や助け手の存在です。途上国は、そうした社会全体の環境整備(エコシステムとも呼ばれます)の点で、ハンディキャップを負っていることが多いのです。これは、一方で、大きな成長のポテンシャルを持っていることに他なりません。ないない尽くしの中で奮闘する起業家の持つ志やエネルギー、発想力、現場力は、私たちを刺激し、魅了します。彼らと協力することで、困難に見える課題の解決に、彼方でも此方でも一歩づつ近づくことができると思います。
皆さまのご支援が、遠く離れた地域、顔も知らなかった人と、新たに出会う機会となり、共に、コロナ後の新しい社会を作っていく一歩となりましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。